こんにちは、非モテタイムズライターの荒井です。童心にかえれる(かもしれない)コラム「キッズ頭脳!」第6回は「永遠の5歳児、いつの間にか6歳に。サザエさん時空の崩壊」です。
アニメや漫画では、現実世界の物理法則を無視した事象が頻繁に起こります。そのひとつが、「年を取らない登場人物」でしょう。
四季が何回巡ってもキャラは決して年を取らず、そのことを作品中で疑問に思う人間も誰一人あらわれない……その元祖とも呼べる作品にあやかって、こういった特殊な時間軸上に存在するフィクションの世界を
「サザエさん時空」
と呼ぶことがあります。
ドラえもんやちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃんなど、多くの大御所作品で取り入れられているこのサザエさん時空は、番外編や回想、最終回等をのぞいてほぼ破られることはありませんでした――しかし最近、そんな強固な世界のうちひとつがゆっくりと、しかし確実に崩壊に向かっていることが発覚し、騒ぎになりました。
それは読売新聞朝刊の四コマ漫画「コボちゃん」です。
■時空を破ったミホちゃんの登場
コボちゃんをはじめとする、田畑家の日常を描いたこの漫画は1982年以来、ほとんど休むことなく掲載されており、これを目的で読売新聞を購読している層もいるくらい、人気の高い作品です。
そのコボちゃんが昨年6月、ついに連載一万回を迎え、同時に数ヶ月前からお母さんのお腹の中で育っていた妹 ミホちゃんがお目見えしました。
これだけなら、クレヨンしんちゃんと同様に、妹を赤ん坊のまま成長させず再びサザエさん時空を継続させることも可能です。しかし、原作者の植田まさし氏は読売新聞の一万回記念インタビューで「(ミホちゃんが)おませになる3歳くらいまで成長させたい」と、それにあわせてある程度他キャラの年齢を引き上げる考えがあることを語りました。
実際、コボちゃんは28年間ずっと5歳児のままでしたが、昨年12月12日掲載分にて、コボちゃんと同じ幼稚園のクラスメイトが自分のことを「6歳で、来年小学生になる」と紹介しており、コボちゃんが実はこっそり1歳年を取っていたという事実が確認できます。
一ヵ月半後には、ランドセルを背負ったコボちゃんがきっと紙面で見られることでしょう。
ある程度妹が成長したら再び年を取らなくなる可能性もありますが、それでも、一度でも正式に時間のループを抜け出したという事実は、漫画界のお約束破りとして、後々まで語り継がれるのではないでしょうか。
■携帯電話は、時代の流れを感じさせるキーアイテム
一方で、作品中の時間はちゃんと流れているはずなのに、その進みが余りにも遅すぎて、見ている側が疑似的なサザエさん空間に放り込まれているような気になる作品も数多くあります。
その代表作が「ガラスの仮面」です。
1976年に連載が始まったこの漫画は現在もなお未完であり、「死ぬまでに一目結末を見たい漫画」にしばしば名前が挙がることでも有名です。
このガラスの仮面は、2004年に発売された42巻において「カメラ付き携帯電話」をキャラが使いこなす描写が登場し、ファンの間で大騒ぎになりました。
ちなみに41巻が発売されたのは1998年。携帯電話は一部のビジネスマンの使用のみにとどまっていた頃です。そこで長い間サザエさん時空に突入していたファンが、いきなり携帯電話を当たり前のように持っているキャラの姿を見せられても、ただうろたえるしか出来なかったことでしょう。
携帯電話は、サザエさん時空上の物語や、連載が長い物語において、時代の移り変わりを感じさせる非常に重要なアイテムです。
時代を感じさせない作品の代表であるはずのサザエさんですら、実は波平が携帯電話でフネと会話をしている場面があるのです(画像は参考リンク、「サザエさんにも携帯電話が 3461日坊主な雑記 面白動画や無料ゲーム、衝撃映像や時事ネタと(たまに)日記」のスクリーンショット)。
この先、ガラパゴスではなくスマートフォンがスタンダードになったら描写も変わっていくのか……色々想像してみるのも、楽しいかもしれません。
※画像:Amazon、(http://www.kensuke.net/blog/item_3935.html)
(荒井)
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(参考リンク)
コボちゃん「妹」当初から構想…植田さん : 小町People : インタビュー : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
「ガラスの仮面」のアレ: たけくまメモ
サザエさんにも携帯電話が 3461日坊主な雑記 面白動画や無料ゲーム、衝撃映像や時事ネタと(たまに)日記
荒井彩(あらい・あや)
東京近郊在住のフリーライター。喫茶店めぐりと特撮鑑賞が趣味。
・ブログ「あるみかん」http://arumikan111.blog109.fc2.com/
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